許認可と届け出

いろんな仕事をするのに許認可や届け出が必要なのはわかるんだけどその違いってなんなの?

届け出とか申請とかもう何が何だかわからないのよね。

わかんないからって適当にするわけにもいかんじゃろうし

簡単にその違いを例を挙げて説明しましょう。

許認可と届け出

まず難易度の低い方から説明しましょう。

届け出

一定の事実や意向を官公庁に報告することがこれに当たります。

原則として届け出が受理された時点で義務をはたしたことになります。結果活動を開始できます。

基準はあるが、多くの場合許認可に比較して審査は軽微であることが多い。届け出が受理されたことを示すだけで特別な条件はないことが多いです。→ドンとハンコ押されて書類の控えが返ってくるイメージです。

やってもいいけど教えてね→はい。届け出します。

ということですね。

実例では

貨物軽自動車運送事業の経営の届出がそれに当たります。基本的には申請者が設定した運賃やドライバーの休憩所などを定め届ければOKとなります。もちろんある程度の基準は設けられています。

 

用語は違いますが、単に申請といわれるもので自動車登録があります。登録申請なんて言われます。

これも考え方が届け出に非常に近く、公道で運用するには、税金の根拠のため、安全のために登録が必要になります。この場合の上記のある程度の基準チェックの部分が安全な基準に適合しているかの検査になります。基準満たして登録するなら公道で乗ってもいいですよ。ということですね。

 

許認可申請

お次は許認可です。

ぐっと難しくなります。

まず、許可を受けるための要件が厳格になります。特別な資格が必要な場合があったり、経験年数が必要だったり、合法的な活動の実績が必要な場合も多いです。

建設業の許可を例にしてみましょう。長くなるので枠内は読まなくても大丈夫です。こんな書いてあるんだ!と云うことを実感していただければと思います。

1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者

(1)経営業務の管理責任者等の設置(建設業法施行規則第7条第1号)

 建設業の経営は他の産業の経営とは著しく異なった特徴を有しているため、適正な建設業の経営を期待するためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1人は必要であると判断され、この要件が定められたものです。

 なお、具体的な要件は、以下のとおりです。

 許可を受けようとする者が法人である場合には常勤の役員のうちの1人が、個人である場合には本人または支配人のうちの1人が次のいずれかに該当することが必要です。

1. 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること。

2.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者であること。

3.建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者であること。

4-1.建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
に加えて、
常勤役員等を直接に補佐する者として、当該建設業者又は建設業を営む者において「財務管理の業務経験」、「労務管理の業務経験」、「運営業務の業務経験」について、5年以上の経験を有する者をそれぞれ置く(一人が複数の経験を兼ねることが可能)ものであること

4-2.五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者
に加えて、
常勤役員等を直接に補佐する者として、当該建設業者又は建設業を営む者において「財務管理の業務経験」、「労務管理の業務経験」、「運営業務の業務経験」について、5年以上の経験を有する者をそれぞれ置く(一人が複数の経験を兼ねることが可能)ものであること

*(参考) ここでいう法人の役員とは、次の者をいいます。

 ・株式会社又は有限会社の取締役

 ・指名委員会等設置会社の執行役

 ・持分会社の業務を執行する社員

 ・法人格のある各種の組合等の理事

*上記2、3、4-1、4-2により、申請(変更を含む。)をしようとする場合は、当該事項に該当するか否か個別ケースごとに審査が行われることになりますので、許可行政庁にお問い合わせ下さい。

 

 経営業務の管理責任者等の設置は許可要件のため、例えば、許可を取得した後に経営業務の管理責任者等が退職し、後任が不在となった場合は要件欠如で許可の取消し(建設業法第29条第1項第1号)となります。このため、このような不在期間が生じないよう、あらかじめ上記要件を満たす者を選任するなど、事前に準備しておくことが必要です。

(2)適正な社会保険への加入(建設業法施行規則第7条第2号)
健康保険、厚生年金保険・・・適用事業所に該当する全ての営業所について、その旨を届け出ていること
雇用保険・・・適用事業の事業所に該当する全ての営業所について、その旨を届け出ていること

【参考】 「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」について

《解体工事業の新設に伴う経過措置について》

 解体工事業の新設に伴い経過措置が設けられており、平成28年6月1日以前のとび・土工工事業に関する経営業務の管理責任者としての経験は、解体工事業に関する経営業務の管理責任者としての経験としてもみなされます。この取扱いは、経営業務の管理責任者に準ずる地位における経験も同様となります。
→解体工事の追加に伴う経過措置終了時において解体工事を行うとび・土工工事業者の取扱いについて(通知)

こちら国土交通省のHPからの引用です。

上記は建設業許可を受ける場合の要件の一つ、俗にいう経管の部分の抜粋です。

赤字の部分を見てください。

5年以上経営業務の管理責任者としての経験とあります。

これをどうやって証明するんだ?ということです。

ここを証明するためにいくつかのパターンがありますし、証明するのに従来の活動が合法的でなければもちろん認められません。

この期間が長くなればなるほど書類で証明するのが難しくなります。この部分だけでも書類が膨大になりますし、たったこれだけの文章の内容を検討するだけでA4何枚にもなります。

 

自称で何年やってました。というのは通じません。書類で証明が必要ですし、証明できなければ理由が必要です。また書類があっても許可を出す出さないは行政に裁量があります。

こういう要件がいくつも並びます。

許認可申請の大変さがわかるでしょう。

 

なぜこんなことになるか?

消費者の保護のため一定のレベルで技術力、経済力、誠実性、合法性がチェックされるのが許認可申請だからです。

 

まとめ

許認可と届け出は似てるが大きく違う。

いくつもの証明パターンがありうるため、合法性の担保が必要

全部できるだけ合法で活動しておく。

前段階の届け出、経緯の記録、保険等の公的費用の記録を保存しておく

 

やはり合法の勧めで説明したように合法であることが大きな後ろ盾となります。


 

ご覧いただきありがとうございます。

行政書士の存在理由の一端が見えたのではないでしょうか。

大事なのは合法とその記録の保存です。