死後事務委任で「死亡届は出せる? 出せない?」
本記事では、「死後事務委任で死亡届を出せるかどうか」についてわかりやすく説明いたします。
また、おひとり様の方の安心の為どのような方策がとれるかを考えていきます。
死亡届を出せる人は、法律で限られています
✔ 戸籍法による定め
死亡届(死亡の届出)については、戸籍法に規定があります。
特に重要なのが 戸籍法 第87条 です。
第87条 次の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。ただし、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
2 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、これをすることができる。
戸籍法87条
- 第87条1項 は、届出義務者を定めています。
- 同条2項 では、義務者でない場合でも「届出することができる人を挙げています
死亡届を提出できるのは「戸籍法で定められた者」に限られており、「誰でもできるわけではない」 のが現行法のルールです。→通常の死後事務委任では出来ないと言う立場です。
死後事務委任では出せないが・・・
✅ 他の契約があれば可能な場合がある
死後事務委任契約によって「死亡後の事務手続き全般」を任せる旨を定めた場合に、受任者が 任意後見受任者 または 任意後見人 など、戸籍法87条で定められた資格者であれば、死亡届の提出も可能です。
❗ 注意点
ただし、次のような注意すべき点があります:
- 任意後見契約と死後事務委任契約をサポートしてくれるのは同じだろうとばかりに死後事務委任契約で出来ると誤解してしまう場合がある。
- 受任者が任意後見受任者・任意後見人であったとしても、実際に届出を行うにはその資格を証明する書類(任意後見契約の公正証書)の提出が求められる。
他の例外事項
- 葬儀屋さんが提出する場合がある。→義務者ではないですが、義務者の使者(お使い)として出してくれる場合があります。
- 義務者が全くいない、死亡者がだれか全くわからない。→警察、行政が「誰か?」と言うことをあの手この手で特定しようとします。特定できても出来なくてもそれに対応した処理がされていきます。特定できない場合は戸籍上は生きてるままになってしまうこともあり得ます。
安心のための 実務上の対策
- 公正証書による任意後見契約または後見制度を併用する
受任者を「任意後見人/受任者」にしておけば、戸籍法上の届出資格をクリアできます。 - 死後事務委任契約の中に「届出資格者である受任者による死亡届提出」の明記
単に「死後の手続きをすべて任せる」ではなく、誰が・どの手続きを・どのように行うかを具体的に記載することが重要です。 - 他の関わりを想定しておく
例えば賃貸の場合管理人は義務者になりますので事前に話し合いのもと、万が一のときにも対応が柔軟になります。 - 事前に管轄の市区町村役場へ確認する
地域や自治体によって対応が異なることもあるため、契約前に「このような届出人で受理されるか」を役所に問い合わせておくのがおすすめです。→これは確実性を持たせるために当方で確認しておく事項です。
「全てお任せください」この言葉を信用する前に
死後事務委任契約は、ご自身の尊厳やご家族の負担軽減のために非常に役立つ契約です。
しかし、「死亡届を出せるかどうか」は、契約の内容や受任者の資格によって大きく左右される、非常にデリケートな問題になります。
だからこそ、契約前に「誰が何をできるか」をしっかり確認し、
可能であれば 任意後見制度や公正証書による契約 などが、法律的にも実務的にも有効な対策になります。