遺言書

終活

少し長くて読みにくいので、単純に

・公正証書遺言が確実。

・有効にならない場合もある

・内容は専門家に相談

だけ頭の片隅にあれば大丈夫です。

 

最初に

遺言は、故人の意思を明確に伝える手段です。

遺言書により相続人の間の争いを防いだり、スムーズな遺産分割を実行することが出来ます。

現実には遺言で何が出来るのかは法律で定められており、それ以外は有効な遺言とはなりません。

作成時には専門家の意見が欠かせません。

この争いを防ぐ点において様々な考えがあり各専門家と相談が欠かせません。

依頼者が何を重視するかにより、どのような専門家の意見が必要かが変わっています。

例えば、『争いになろうがどうなろうがワシは遺産を全部Aに相続させたいんじゃ。』なんて思うなら迷うことありませんそう書けばいいのです。

この争いを防ぐ点において実際には様々な考えがあります。

争いを避けたいという気持ちとAに全部相続させたいという気持ちのどちらを優先しますか?ということに正直になって頂きたいと考えています。

ほとんどの方が意思も通したい。でも争いも望まない。と感じるのではないでしょうか?

ここはやはり弁護士の力が必要になるでしょう。(基本的には遺留分といわれる部分の侵害をしない内容がベストであると思います)

例えば、相続人が相続税で困るのは避けたい。という場合は税理士の意見が必要になるでしょう。

複雑な法人の登記が関係する場合には司法書士の関与が欠かせません。

 

遺言書で定められる事柄

 ではどう言った事が決められるのでしょう。

分類番号具体的な内容補足
財産の処分1配偶者居住権設定可能(配偶者の住まいを確保できる)
2分割の禁止5年以内の期間を定め遺産分割を禁ずることが出来ます。
3遺贈
負担付遺贈
友人や団体への財産譲渡が可能
財産を与える代わりに義務が発生
4生命保険の受取人指定・変更遺言だけでは完結せず、通知や手続きが必要
5信託の設定特定の目的のために財産を管理・処分する信託を設定する
身分関係6認知婚姻外の子を正式に認知できる
7未成年後見人の指定未成年の子がいる場合に指定可能
相続手続き8遺言執行者の指定遺言の実行を担う人を決める
9財産の分割方法の指定特定の相続人に特定の遺産を相続させることが可能
10相続分の指定民法上の法定相続分と異なる配分が可能
11相続人の廃除特定の相続人を相続から除外する
その他12寄付行為財産を慈善団体などに寄付可能
13祭祀承継者の指定仏壇・墓などの管理者を決める
14一般財団法人設立一般財団法人を設立する意思を表示することができます

青マーカーは不調に終わる場合がある項目です。

 

配偶者居住権

被相続人(亡くなった人)の配偶者が、一定の条件で自宅に住み続けることができる権利です。
・自宅の所有権を取得しなくても、住み続けられる
・住む権利(配偶者居住権)と、家の所有権を別々に相続できる

 

分割の禁止

事業の継続や未成年者の保護などを目的とする場合に設定されます。

・未成年の相続人が成人するまで遺産の分割を避けたい等

遺言執行者 がいない場合は、全相続人の協議により、遺産分割を行うことができます。

 

遺贈・負担付遺贈

遺贈:遺言により相続人以外の者へ財産を遺贈できます。

負担付き遺贈:遺贈を受ける人に、特定の義務(負担)を課す遺言

遺言で贈与出来る一方遺贈は一方的な意思表示なので受け取る方が拒否できます。

負担付き遺贈の例:

・自宅を譲る代わりに、自分の墓の管理をしてもらう
・金銭を贈与する代わりに、ペットの世話を続けてもらう

生命保険の受取人指定・変更

受取人を変更により、特定の相続人や第三者に保険金を受け取らせることができます。

(保険契約者や保険会社に対して、遺言内容の通知や手続きが必要)

 

信託の設定

特定の目的のために財産を管理・運用する信託を設定できます

信託法、税法、また生前の契約などが関係し慎重な設定が求められます。

・様々な事由で受託者となる者が受託を断る場合があります。その為に事前の協議とトラブル防止の方策が欠かせません。

 

認知

婚姻外で生まれた子供を認知できます。これにより相続人の立場を得ることになります。

!・他の相続人の取り分にダイレクトに影響します。

 

未成年後見人の指定

未成年者が存在する場合に、後見人や後見監督人を指定できます。

 

遺言執行者の指定

遺言の内容を実現するための遺言執行者を指定できます。

遺言執行者は、遺産の分配や各種手続きを遂行しますが、利害関係を避けるために第三者である事が望ましいです。

 

財産の分割方法の指定

特定の相続人に特定の遺産を相続させることが可能

具体的には、家は配偶者、預金は子供といった形

・財産の分割方法の指定も相続人全員の同意で変更が可能です。

 

相続分の指定

相続財産の配分について指定できます。

誰それに多く、誰それに少なくといった具合です。

・財産の配分の指定も相続人全員の同意で変更が可能です。

 

相続人の廃除

特定の相続人に遺産を相続させたくない場合

・遺言執行者の選任と裁判所の関与が必ず必要(遺言書で遺言排除の意思表示を具体的に明記する)

・単に不仲である等の理由では認められず、具体的な非行や虐待などの事実がある場合に認められる。

 

寄付行為

遺言による寄付(遺贈寄付)

 

祭祀承継者の指定

先祖の供養や墓の管理する者を指定できます。

・これには法的な義務がないため、事前の同意が大事です。

 

一般財団法人設立

遺言による財団法人の設立

・主な目的は社会貢献

・財産面で要件がある

・遺言執行者が必ず必要

 


 

遺言の方法3種類

では遺言の方法を三種類。これは普通遺言といわれる方式です。

特徴公正証書遺言自筆証書遺言秘密証書遺言
作成方法公証役場で公証人が作成
(本人の口述を公証人が書き写す)
遺言者が全文を自筆で作成(ただし、財産目録はパソコン作成可)遺言者が遺言書を作成し、公証人が証明
証人の要否2人以上の証人が必要不要2人以上の証人が必要
内容の秘密性公証人と証人に内容が知られる遺言者のみが内容を知る公証人と証人は内容を知らない
安全性原本が公証役場に保管されるため、偽造や紛失のリスクがない紛失や偽造・改ざんのリスクがある紛失や偽造のリスクがある
検認の要否不要必要必要
公証役場の費用
証人の費用
公証役場の手数料が必要
証人の手数料が必要
不要公証役場の手数料が必要
証人の手数料が必要
手続きの手間と費用
法的効力の確実性形式不備のリスクが低く、確実に執行されやすい形式不備や紛失のリスクがある形式不備のリスクがある

・公正証書遺言は安全性・確実性が高いが手間と費用がかかる。

・自筆証書遺言内容の秘密を守れて手軽だがリスクがある。

・秘密証書遺言は内容の秘密を守れるが手続きが複雑。

 

検認

公正証書遺言以外は裁判所による検認という手続きが必要です。

  • 「検認」とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません

要約しますと、相続人立ち合いのもと、裁判官が遺言書を開封する手続きになります。

 

行政書士からのお勧め

やはり公正証書遺言が確実でしょう。

ですが内容を知られたくない場合は秘密証書遺言を考えてもいいかもしれません。

 

自筆証書遺言は発見されなかったり改ざんされたりといったことが懸念されるためお勧めしないのが正直なところです。

 

最後に

様々な事由で遺言があってもそのまま実行されない事もあります。変更に際し遺言執行者がいれば同意が必要だったり、遺贈があれば受け取った人の同意が必要だったり様々です。その為事前の話し合いが欠かせません。

ですが、ここに相続人予定者の意思が関わると本人さんの意思が曲げられかねません。だって多少の差をつけようと思ってもなかなか言えませんから、、

その為、遺言を残そうと思ったら事前に利害関係の全くない第三者に相談していただくことが大事です。

一番大事なのは本人さんの意思です。

 


少し長くて読みにくいですね。

今後ですが、簡潔にこんなパターンがありますと言ったQ&A方式の記事を用意しようと思います。